身元確認訓練研修会に参加
群馬県歯科医師会・群馬県警察合同身元確認訓練研修会参加
平成30年10月28日(日)群馬県歯科医師会・群馬県警察合同身元確忍訓練研修会に参加してきました。
群馬県歯科技工士会からは5名の参加。今回、この研修会に興味を持ち
参加した理由は二つある。まず一つ目は、私が高校2年の夏のある日、
歴史に残る航空機事故が群馬県に起こった。
犠牲になられた方は500人以上。山岳地帯に発生した事故のため救助、捜索は難航し、収容されたご遺体は藤岡の学校の体育館などに安置され、身元確認作業が行われた。
当時、同級生がご遺体の安置された藤岡の高校に通っていたため、
学校の状況などを話していた事を覚えている。
そしてもう一つは、私が技工士となって横浜で勤務していた20数年前の出来事。勤務していたラボに警察の方が来られ、まだペイペイであった私が対応した。制服を着た警察官の手には数冊のアルバム。
「ご協力お願いしたい。」とアルバムを手渡され、「身元不明のご遺体の歯の写真です。見覚えがないかご確認いていただきたい。」と。
後日引き取りに来ると言うことでアルバムを預かり、社内でアルバムを
拝見した。技工士は自分の製作物にそれぞれ癖が出るものである。
1枚1枚補綴物を確認しながら、写り込んでいるご遺体の一部も
目に入ってくる。その状態によっては死後かなりの時間が経過していると思われる写真も混在していた。その時感じた事は身元不明のご遺体は多いのだと。そして1人でも多く身元が判明しご家族の元に帰れる事を切に願った。
今回の研修はほぼ実習であった。最初に、実習の大まかな流れと
身元確認、デンタルチャートについての説明を受ける。今回歯科技工士の役目は記録である。歯科用語は日常使用しているので困難ではなかっが、テキストで使用した生前記録などは診察をした先生などの特有の
日常カルテに記録していると思われる、補綴物の頭文字を使った略語ど、技工士の使用している用語と違いに少々戸惑った。皆様も経験ないだろうか?技工士の友人に「指示書に○○と書いてあるんだけど何の事か分かる?」この事である。
この事は先生の間でも少なからずあるそうだ。
これと同時に警察官の方は別室で歯科用語の解説が行われていた。
その後、6チームに別れ実習に移る。ご遺体役の警察官の口腔内の所見を歯科医師が2人1組で行う。所見の最初と最後には必ず合掌を行う。
このときは実習のため警察官の方が検視台に寝ていたのだが、周りで皆に手を合わされている感覚は複雑ではないだろうか?と心の中で思ってしまった。歯科医師の所見を一言一句聞き漏らさず死後記録用紙に記載る。警察官がそれを行うが、そこに技工士も参加させていただいた。
そしてもう一人の歯科医師も所見を行い見解の相違がないかの
ダブルチェックをする。
その後、場所を移しデンタルチャート死後記録を清書し、それを元に
テキストに用意されていた生前資料《生前記録》と照合し照合用紙へ
遺体情報を記入する。このとき前筆した用語の相違が困難を来す。
生前記録と死後記録のデンタルチャートの照合結果の判定は○△×-の印を付けその数の集計を行う。項目は次の通りである。
:一致する =○印
:矛盾しない =△印
:矛盾する不一致=×印
:判定不能 =-印
この数を集計し判断を行う。
以下テキスト引用
【32歯のうち、一致は8カ所、矛盾しない20カ所、矛盾する、不一致1カ所、判定不能3カ所であった。生前カルテが11年前の記録であることから矛盾しない不一致が多くなったと考えられる。また、矛盾する不一致に関しては生前、死後のX線写よりBrの形態が完全に一致することなどから同一人として矛盾しない。】
この様な判断が歯科医師によって行われ身元が判明すると言う流れである。
紙面に限りがあるため大まかに記載したが、その行為は多大であり労力を要する。
この講習の講師の先生は経験豊富で大規模災害などの現場も行っておられる。
災害となれば相当数の身元確認をしなければならない。日常、歯科技工士が身元確認の現場に立ち会う事は無いが、大規模災害となれば、歯科医師、警察官とも人手は足らなくなるであろう。その時、少しでも歯科技工士もお手伝いができ、身元不明のご遺体の身元が判明しご家族の元に帰れる日が1日でも早く、そして歯科医師、警察官の負担も軽減できる様になればと感じた講習であった。
群馬県は比較的災害の少ない地域であるが100パーセント無い訳がない。そして事件、事故。24時間家族が一緒にいる事もない。いつ最愛なる家族、友人が身元不明になってしまうか可能性は0ではない。そんな思いも踏まえ歯科技工士も協力できる様、皆様も参加してはどうでしょうか。